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2011年7月26日 (火)

TDR (時間領域反射率測定)による伝搬遅延の測定

TDR Pulserが完成しましたのでケーブルの長さを測ってみます。
下の写真は公称3mの同軸を2本
Tコネクタで接続し
Tコネクタ部は50Ωで終端しています。
全長の実測はTコネクタを含め6.17mです。

同軸の最終端は解放で
右端のパルスが解放端の反射パルスです。
中間の落ち込んでいる箇所が50Ωで終端した反射パルスです。

最終端までの時間は61.8nSでした。
L=cvt/2
L:電線長(m)
c:光速(0.2998x10e9 m/s)
v:速度係数
t:遅延時間(Sec)

使用した同軸(RG58A/U)の速度係数は0.66
L=(0.2998x0.66x61.8)/2
=6.114m

nSは10e-9なので光速の10e9とで上式ではネグレクト。

差=実測値-計測値
 =6.17m-6.114m=5.6cmで
1%以下の誤差で長さが計測できました。

ケーブル端を同軸の特性インピーダンスである50Ωで終端すると
反射パルスは発生しません。

線路が解放(インピーダンス大)だと正の反射パルスが
線路が短絡(インピーダンス小)だと負の反射パルスが帰ってきます。
これらの反射特性からケーブルの損傷箇所の状態および距離を求めることができます。

20110726_191757

ケーブルの速度係数が未知の場合でも
基準となるケーブルがあれば測定可能です。
パワースプリッターを介して2チャンネル同時に測定して比で求めます。
測定方法および計算式は最後に記してあります。

20110726_190805


参考資料:

反射パルスによるケーブルの状態を詳しく解説しています。
Waveform Analysisを参照してください。

Agilent社の「タイム・ドメイン・リフレクトメトリの原理

Tektornix社の「TDRインピーダンス測定

モガミ電線の「電磁波の位相速度と媒質定数

速度係数から絶縁材料の「比誘電率を求める式」があります。

******************************************
まとめ:

TDRの歴史

ヒューレット・パッカード(現アジレント)の時代までさかのぼります。
1960年代の終わりに初めて単一の筐体でTDR測定ができる
オシロスコープ「140シリーズ」とTDRモジュール「1415A]が誕生し
続いてTektronix社のTDR測定専用機「1502」「1503」が世に出ました。
現在も両者は性能においてしのぎを削っています。

TDR法の概略

TDR(Time Domain Reflectometry)は、メタルケーブルの障害箇所を最も早く正確に測定できます。
ケーブルレーダーとかパルスエコーメーターとも呼ばれています。
ケーブルがメタルケーブルで少なくとも芯線が2 本以上、もしくは芯線と外部導体からなる同軸ケーブルといった場合にTDR による測定が可能でケーブル長やケーブル製造過程における障害・断線・水侵入・接続不良・シース不良を検出します。
それに加えTDR はドラム上のケーブルが運搬中破損していないか、ケーブルに不足がないか、敷設工事・在庫管理するためにも役立ちます。

動作原理

タイム・ドメイン・リフレクトメトリ(TDR)測定ではパルスゼネレータとオシロスコープの組み合わせで測定します。
パルスゼネレータから調査するケーブル(伝送ライン)に急峻なエッジを持つ信号を送り込みます。
そしてオシロスコープによりケーブル上の特定ポイントで入射電圧波形と反射電圧波形がモニタされます。
これはエネルギーのパルスが発射されターゲットにぶつかり反射して帰還し時間と距離・ターゲットの大きさや方向を計算するレーダの動作原理と似ています。
TDR は同様の原理で働きますが、TDRではケーブルの速度係数を知る必要があります。
レーダーの場合パルス伝送の媒体物は空気で特性が一定していますが、ケーブルの場合ケーブルの使用・製造目的により材質(比誘電率)が異なり
その結果ケーブルインピーダンスや速度係数の特性は多様です。
たとえば、電力ケーブルは通常インピーダンス25Ω/速度係数(以下v値)は0.5前後ですが、50Ω同軸ケーブルはv=0.66です。

TDRで正確な結果を出すためには、この値(v)を知っておく必要があります。
通信・データケーブルについては、v値及びインピーダンス値はケーブルメーカーが公開している場合もありますが
ケーブルによっては実証を通して数値を割り出す必要があります。

速度係数(v値)

速度係数は位相速度、伝搬速度、波長短縮率とも呼ばれます。
速度係数とは信号がケーブルを伝送する速度のことで、通常真空中の光のスピード(299,800Km)との割合です。
たとえばv値0.66のケーブルは光速の66%の速度で信号を伝送するということです。
v値は電線の材質やケーブル被覆・芯線被覆の厚さにより特定されます。
ツイストケーブルの場合では、v値は芯線間隔すなわちツイスト率によっても特定されます。
同軸ケーブルの場合は中心コア線を外部導体や被覆と分断している材質がv値を決定します。
v値はスチール、アルミ、銅などといった芯線材料に顕著に影響受けるものではありません。

インピーダンス

2本のケーブルが互いに近接した場所にある場合インピーダンスが形成されます。
インピーダンス値は両芯線の間隔とv値同様ケーブルメーカーが使用する被覆(誘電)材質により決まります。
ケーブルの芯線間が(同軸の場合は外部導体を芯線と考えます)一定の間隔で製造されていれば
1本のケーブルのインピーダンス値はその全長にわたって不変です。
芯線間隔が一定でない場合インピーダンス値は各所で変化します。

顕著なインピーダンスの変化があるとオシロスコープ画面にプラスやマイナスの振幅が現れ
不整合で反射したエネルギー量により反射パルスの大きさが決まります。
ケーブル断線もしくは末端などのオープン(開放)状態は大きなプラスの反射パルス
ショートしている末端・線間ショート状態はマイナスの反射パルスが発生します。

高インピーダンス障害例(プラスのパルス)

ケーブル末端オープン
ケーブル断線
高いインピーダンスの接続点
ゆるい結線
腐食したコネクター

低インピーダンス障害例(マイナスのパルス)

浸水
シールド障害
Tコネクター
低いインピーダンスの接続点

参考資料
TDRについて:株式会社グッドマン
TDR測定:EDN
オシロスコープ入門:Tektronix
High Speed Amplifier Techniques:LT AN-47

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最後に速度係数が不明の場合の測定方法です。
インパルスでもステップパルスでも測定結果は同じですが
インパルスでの測定はオシロスコープで感度を上げられますので
劣化したケーブルの時にはより有効と考えます。
下図での注意点はPower Splitterから被測定ケーブルまでの
パッチケーブル長(同軸)は同じにします。
パッチケーブル長は既知の遅延時間ですから
パルサーの立ち上がり時間から測定したときは
測定遅延時間から差し引きます。
また被測定ケーブルにパッチケーブルから接続するときは
グランドインピーダンスが最小になる対策を講じます。
そうしないとアンダーシュートが発生し測定に影響を与えます。
もしパワーケーブル等で現場での作業上
どうしてもグランドラインが長くなってしまうときは
パッチケーブルを長くしアンダーシュート分を補う等の測定テクニックは有効です。


20110727_72458


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